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まよいみち+

乙女ゲームやらなんやらの感想と妄想を書いていこうかなってブログみたいですはい。

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会長&副会長ED見る前に思いつきで書いた会長&副会長ED後のヒロインちゃんと鈴城先輩のお話。
なんかおかしいところはサクッとスルーの方向で。
△関係おいしいよね。
オフの方であれこれせにゃならんのでゲームはしばらくお預けです。



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『嵐の予感』
(ヒロインちゃんの名前は吉岡美咲です)

「で、どっちと付き合ってんの?」
不意に背後から掛けられた声に、美咲はキーボードを打つ手を止めた。
声の主は、美咲の先輩でありバイト仲間でもある鈴城舜だ。鈴城はバイトの時間までたいてい中庭に居るが、しかし9月に入ったとはいえまだまだ暑い日が続く近頃は、生徒会室に勝手に入ってきてソファーに陣取る事が多く、今日もそうしてソファーに腰掛けて本を読んでいたのだった。
大人しく本を読んでいたと思ったら、いきなり何を言い出すのか。掛けられた言葉に首を傾げながら、美咲は顔を上げて鈴城に目を向けた。
「それって、」
どういう意味ですか?と言おうとして言葉に詰まったのは、鈴城が皮肉るように口端を持ち上げて笑ったからだ。
「先輩?」
「いくら鈍感なあんたでも、意味くらいわかるでしょ」
言われて、思わず黙り込む。
問われた事の意味は、わかる。わかるけれど、簡単に答えられるようなものではない。
目を伏せて口を噤んだ美咲に、鈴城がふぅんと鼻を鳴らした。
「研修の後くらいからなんかあやしいって思ってたけど、やっぱりそうなんだ」
「あやしいって…」
自分では変わっていないつもりでいたけれど、傍から見れば可笑しかったのかもしれない。けれど、あやしまれるような事ではないし、やましい事もなければ、鈴城が思うような事は何一つないはずだ。
「別に、付き合ってはいません」
「どっちとも?」
「どっちとも、です」
付き合ってはいない。それは正しい。告白はされたけれど、付き合ってはいないのだ。
バイトの研修旅行の日の夜に、美咲は、バイト仲間であり先輩でもある等々力嵐と山内舞人に告白された。けれど、2人とも大切な仲間であり先輩であって、どちらかと付き合うことは出来ない、このままの関係でいたいと、きちんとした返事を返さなかった。2人ともそれで一応は納得してくれたようで、表面上は以前と同じ体裁を保っている。そのつもりだったのだが。
「あの、そんなに変わって見えましたか?」
「見えたね」
きっぱりと言い切られ、ついでに「隠してるつもりだったの?」と鼻白んだ眼で見られて、美咲はさらに俯いてしまう。何か言い返すなり別の話を振るなりして話を逸らしたいけれど、適当なことばが見つからずに更に黙り込む。
俯いて言葉を探す美咲に、鈴城は小さく鼻を鳴らした。
「ま、別にいいけど」
そう呟いて、鈴城は本に目を戻す。
つまりは、付き合っていようがなかろうが、自分には関係ないという事だろう。鈴城の性格から考えれば、自分とバイト先に迷惑がかからなければ良いと言いそうだし。
ほっと息を吐いて、美咲は再びノートパソコンに目を戻した。書類をパソコンに打ち直す作業を再開する。
すると、キーボードを叩く音に混じってコトリと小さく足音が聞こえた気がした。
「…でも、付き合ってないってことは、俺が狙ってもいいんだよね」
「え?」
声に顔を上げれば、いつの間にかすぐ近くに鈴城の顔があって。何の事だと首を傾げる前に、すっと顔が近づいてくる。
「あんた、あの人達と付き合ってないんだし、フリーなんでしょ」
「そう、ですけど…」
付き合ってはいない。でも、それがなぜ、鈴城が狙う、という話になるのか。
驚きと疑問の入り混じった頭のまま鈴城を見返すと、鈴城の瞳がどこか楽しそうに細められた。そして、更に顔が近付いてくる。
「はい、そこまで」
けれどそれは、突如降ってきたにこやかな声に止められた。見れば、何時の間に戻って来たのか、山内がにこりと効果音がしそうなほど完璧な微笑みを浮かべて鈴城の肩に手を置いている。
「鈴城くんも彼女狙いだったの?ライバルが増えるね」
嵐士だけでも大変なのに、これ以上増えるのは困るな。
なんて、にこにこと笑顔ではあるけれど、でもその笑顔に裏がありそうで、美咲は知らずコクリと喉を鳴らした。
鈴城が山内に目を向け、肩をすくませる。
「冗談。嵐士と副会長を敵に回すなんて、そんな恐ろしい事しないよ」
「そう?ならいいけど」
にこり、ともう一度奇麗に微笑んで、山内は美咲に目を向けた。
「書類出来た?」
「あ、えっと、あと少しで終わります」
山内に言われて、慌ててノートパソコンに向き直る。
じゃぁ終わったらこっちもお願い、と新しい書類を机の上に置いて、山内は美咲の前に座った。鈴城は既にソファーに戻って、何事もなかったかのように本を開いている。
作業をしながらちらりと2人の様子を伺ってみるけれど、特に変わった様子はない。それに内心で安堵の息を吐いて、美咲は書類に目を向ける。
あれは鈴城の軽い冗談。だから山内もそれ以上突っかからないし、鈴城も何も言わないのだ。たぶん。
2人が険悪にならなかったことは良かったと思うけれど、でも、何かが気になって、美咲はその日の作業には全く集中出来なかったのだった。



さて先輩は本気なのか冗談なのか
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